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固定観念裏切る建築◇建築家・中山英之氏が講演

 2月17日と18日の2日間、松本市美術館で開催された「第12回建築祭」。JIA長野県クラブ(山口康憲代表)が主催するもので、会員をはじめ建築の道を志す学生らが多数参加した。17日に行った文化講演会では、建築家の中山英之氏が「これまでつくってきたもの」をテーマに講演した。

◆建築はみんなで作るもの

 ドアノブの中に部屋の様子を映し出したり、家と家をつなぐ大きな扉を施してみたり。建築の常識を覆すような設計で注目を浴びる新進気鋭の建築家だ。
 日本有数の建築家である伊藤豊雄氏の事務所に入り、自身が初めて担当した建築作品が「まつもと市民芸術館」だった。浅間温泉近くのアパートを借りて2年半過ごした松本での当時の生活を懐かしみながら、今回の講師依頼に「何かの縁を感じた」という。人との関わりを大切にする。
 日々さまざまな住宅建築を手がける中山氏は「建築は1人で作るものではない。みんなでつくるものだ」と強調する。「自分が考えていることは99%伝わらない。でもそこがおもしろい」と、人間の意識に働きかける楽しさを熱弁する。「自分の意味をそこに見出したくなるような作品を作りたい。そのためには一緒に作るスタッフの存在が重要」だという。

◆人生を変えた海外コンペ

 住宅建築のかたわらでさまざまなコンペに参加する中山氏。「自分の人生を左右する大きなきっかけとなった」と振り返るのは、フランスにいる建築家の友人とともに参加したベルギー郊外のアトリエ増築計画だ。田園にある小さなおうちを訪ねてくるようなコンセプトで設計したドーム型の建物は、発注者から高く評価され、コンペ時の想定よりも大幅に超えてしまった増築費用を補うために寄付金を集めるほどだった。日本と比較し「海外は建築を扱う文化が違う」と中山氏は話す。

◆裏切りと自作自演

 「人が持つ固定観念を裏切るような建築を作る」ことが、自身の建築家としての個性を色濃くしている。「その概念は何によってつくり出されているんだろう」と違った視点で物事を見ようとすることで「アルフレッド・ヒッチコック監督が映画で見せた自作自演のような、建築にまつわる裏切り」の発想が生まれるという。
 野球ボールの展開図のように縫い合わせていくと形になる立体を作り、窓に見立てた1つの穴を施すと、ファスナーを開閉するように窓が自在に移動できる。「1つの穴にもいろんな意味があることを実現するのが建築設計なのでは」と持論を展開した。
 JIA長野県クラブの山口代表は「活動を通じて建築のおもしろさを若い人たちに伝えることができたら」と意義を伝えた。[新建新聞3月5日号抜粋]

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