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県内建設業 低水準の収益性/際立つ「土木」「零細」の厳しさ

 東日本建設業保証は2016年度の建設業の決算分析結果をまとめた。管内企業2万2330社の決算書から「収益性」「活動性」「生産性」「流動性」「健全性」の5項目について各種財務指標を算出したもの。投下した資本の回転率を表す「活動性」を除き、主要指標の平均値はすべての項目で前年度より改善した。ただし長野県内企業は「活動性」とともに「収益性」の悪化が目立ち、各種指標が東日本平均に比べ大幅な低水準。とくに土木系企業と売上1億円以下の小規模企業の収益悪化が目立っている。

■業種・企業間の格差はっきり

 長野県内企業924社の財務指標は、資本調達の源泉が健全なことを表す「健全性」と資金繰りの余裕などを表す「流動性」こそ東日本平均を上まわったものの、ほかの3項目は大幅に低い水準となった。なかでも「総資本経常利益率」「売上高経常利益率」など企業の収益性を示す主要指標が前年度より軒並み悪化している。
 これは県内建設業の収益力が他都県より低く、かつ下がり続けているということで、主な指標が管内23都県のランキングですべて下位だ。(上表参照)
 とくに総合的な収益力を示す指標として重要視される「売上高経常利益率」(経常利益/売上高×100)は東日本平均の2・69%から1・7ポイントも低い1・99%で、都県別でも下から数えて5番目。かつ前年度の2・14%から0・15ポイント悪化した。
 ただし業種別でみると、建築、電気、管の各業種の売上高経常利益率は前年度よりも改善している。悪化しているのは土木建築業と土木業で、とくに調査対象の約半数を占める土木業の売上高経常利益率が1・14%と、県内平均を0・85ポイント下まわった。
 同社長野支店の小倉貴良支店長は県内建設業の収益悪化に対し「公共事業の少なさが背景にみられる」と指摘する。

■売上1億規模を境に明暗

 収益性を企業規模別でみると、明暗は一層際立つ。売上1億~5億の企業の売上高経常利益率は2・52%、5億~10億は4・88%。10億~30億は4・34%、30億以上は3・79%といずれも県内平均を上まわり、うち5億~30億の企業は前年度より数値が良化、県内平均を2ポイント以上も上まわった。
 これに対し売上1億円未満の企業は悪化が顕著。売上高経常利益率の平均がマイナス0・63%と赤字だ。調査対象の3割強を占めるこれらの企業の収益低下も県内平均を押し下げた要因で、小倉支店長は「売上高1億円の規模を境に収益の良し悪しがはっきり分かれた」と話す。
 一方今年度の動向は、9月末までの前払保証取扱高が請負金額ベースで1304億円と前年度同期の1072億円から21・7%増加(11月15日付既報)。ただし前年度は地元企業の取り扱いが765億円と全体の約7割を占めたのに対し、今年度は657億円と5割に落ちている。
 また地域別でも、南信と北信の取り扱いが4割~5割伸びているのに対し、中信は4%の増加にとどまり、東信は2割弱減少している。小倉支店長は「請負金額を押し上げたのは、広域連合の廃棄物焼却施設を筆頭とする大型工事。それら大型工事のある・なしにより格差が大きくなっている」と指摘。引き続き企業間・業種間、さらに地域間の格差を注視する必要性を示唆する。

■建設業の収益性指標の都県別比較―収益性を示す主要指標のいずれも長野県は下位
■東日本と長野県の売上高経常利益率の比較―業種では「土木建築」(総合工事)「土木」、規模別では「売上1億円未満」の企業で収益性の悪化が目立つ[新建新聞12月5日号抜粋]

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