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高速道路リニューアルプロジェクト

 「高速道路リニューアルプロジェクト」が県内でも本格化している。老朽化した橋梁やトンネル、土構造物の大規模更新・修繕事業。高速道路3社は2030年度までに3兆円を投入し、全国いっせいに事業を進める計画だ。県内でも15年度以降、中央自動車道の沢底川橋や天竜川橋、長野自動車道の小仁熊橋など数カ所で床版取替工事が行われ、上信越自動車道の閼伽流山トンネルではインバート設置工事が実施されている。技術環境の変化をともないながらストックシフトが進んでいる。

■床版取替で進化するプレキャスト

 NEXCO東日本は10月4日、上信越自動車須坂長野東IC~信州中野IC間の「豊洲高架橋」で実施している床版取替工事の現場見学会を開催した。
 床版は橋桁とアスファルト舗装の間で、通行する車両の荷重を受け止める部材。建設から22年が経過した同橋は床版に微細なひび割れが発生しているほか、冬期間の凍結防止剤散布を原因とする塩害が進行、これ以上放置すると本来の機能を失い安全を確保することができない。
 そのためNEXCO東日本では、既存の床版を撤去して新たなプレキャスト床版に取り替えるとし、昨年度から工事に着手。計画検討や詳細設計などを行ってきたが、9月から既設床版の撤去作業を開始した。

■壁高欄までほぼ同時施工

 作業は2台の大型クレーンとトレーラーを使い、橋中央から両方向へ移動。床版を最大幅2・4mピッチで切断し、1晩で両方向4枚ずつ計8枚を撤去する。撤去後は新たなPC(プレストレストコンクリート)床版と壁高欄をほぼ同時に施工。いずれも工場製作のプレキャスト製品を採用し、大幅な工期短縮を図る。
 床版を引き剥がしたところへプレキャストPC床版を設置、間詰めコンクリートを打設したのちプレキャスト壁高欄を据え付ける。床版と壁高欄はあらかじめ備え付けられたループ鉄筋の継ぎ手を噛み合わせて接合。壁高欄同士の接合も凹凸の継ぎ手を用いる。高さ調整や橋軸方向のずれなどに対応しながら、連続構造を保持できるという。
 日常の交通や生活を確保しながら工事を行うため、作業工程も工夫。既設の床版・壁高欄の切断や既設スタッド部のコア削孔などは大音量が出るため昼間に、新たな床版・壁高欄の設置や間詰めコンクリート打設は夜間に行う。高速道路利用者とともに周辺住民らにも配慮した。
 また73日間にわたり4・1㎞の片側交互通行規制を昼夜連続で行う今回の工事は、通行車両の安全はもちろん作業員の安全確保も重要課題。交通誘導を行う警備員の慢性的人手不足のなか、できるだけ人の手を借りず安全な交通を維持するため現場付近12カ所にカメラを配備、事務所内に設置したタブレットで常時監視するシステムを取り入れた。監視担当者が昼夜交替しながら効率よく状況を把握できる。
 約2カ月にわたる今回の床版取替工事は11月30日に終了予定だが、高速道路リニューアルプロジェクトは始まったばかり。ストック時代に対応するさまざまな技術が今後も登場するとみられ、県内のほかの現場でも応用が進みそうだ。[新建新聞10月25日号抜粋]

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