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シリーズ①  街のコンパクト化に「都市型」商業施設/長野市

 長野市が「都市計画マスタープラン」の改定を進めている。

 目標の一つに掲げるのは「誰もが住みやすくコンパクトな街にする」こと。市は公共施設の整備や電車・路線バスなど公共交通のあり方についてなど議論を進めるなか、日常生活に寄り添った商業・医療・福祉・教育・文化など諸機能をまとめた「コンパクトな都市形成」に転換する必要があるとしている。

 なかでも重要となるのは住宅や公共施設などとともに日常生活と密接する民間の商業施設だ。日本では1990年代から郊外への大型商業施設出店が進み、市街地の空洞化現象が進行した。ゆえに「都市型」の商業施設は街の「コンパクト化」になくてはならない。


■全国でアリオ新規凍結もヨーカドー長野店は大型化へ

  長野市において「都市型」の商業施設の象徴となるのは、権堂地区にある「イトーヨーカドー長野店」の建て替えに伴う大型店化計画。実施されれば敷地面積は現在の約8倍となる3万3000㎡に達し、売り場面積は現在の約3倍に及ぶ。権堂地区の住民や地権者、商店主で構成する「権堂まちづくり研究会拡大委員会」によれば「同店の大型化は必要不可欠」。9月12日、イトーヨーカ堂を傘下に置くセブン&アイ・ホールディングスはショッピングモール「アリオ」の新規開発中止を検討すると発表したが、同社も長野店の大型店化に「影響はない」としており、計画への期待は高い。

 自治体も積極的な支持の動きをみせている。市は国が地方都市の再開発を後押ししコンパクトシティーの形成を促す「都市再生特措法」に基づく「市権堂地区市街地総合再生基本計画」を本年度中に取りまとめる予定だ。国からの財政支援を引き出すことができれば、権堂地区を中心とした「コンパクト化」への大きな後押しとなる。権堂まちづくり研究会拡大委員会も、市の計画に沿った形で再開発準備組合を設ける予定でいるという。

 同店は長野電鉄の権堂駅と地下通路で接続しているほか、長野駅から張り巡らされた路線バスの交通網も豊富で、郊外から買物に出てくる人も多い。施設周辺には高層マンションが数多く建設されていることからも、実現すれば市が目指す「コンパクト化」の格好の事例となるだろう。

 長野駅の玄関口にほど近い南石堂にあるスーパー「西友長野石堂店」も、大手マンションデベロッパーの開発により複合商業施設に建て替える計画を進めている。地権者らが中央通りの活性化を目指して進めているもので、国の「優良建築物等整備事業」を導入し、県や市を含め10億円の補助金を受ける計画。総事業費は約51億円に及ぶ。

 地権者らは同事業にあたり、一般社団法人を組織して事業主体となって協議を進めているところ。これまでの協議で、同地区が中心市街地に位置することから、医療施設や買い物弱者に使い勝手の良い施設にする案などが持ち上がっている。今年10~11月には事業者を選定し、建設開始に向け方針を決定する見通しだ。


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 須坂市や千曲市では、「イオンモール」の新規出店計画の動向に注目が集まる。いずれも都市部ではなく高速道路のインターチェンジに近接した立地が特徴。つまり「郊外型」だ。施設周辺の生活者だけでなく、長野市を起点に北信一帯を商圏とする狙いがある。
開発計画では、生活必需品を扱う店舗としての機能だけでなく、災害時の避難所・物資保管所としての機能などを持たせた複合型拠点施設を郊外に置く構想。須坂市や千曲市を筆頭に「クルマ中心」の生活を送る長野県民の地域性を考慮した施策だ。【新建新聞9月25日号1面抜粋】

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