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生ごみ堆肥化を本格展開 -みのり建設(富士見町)-

■公共土木95%から大転換 ~地域課題を解決する環境ビジネス~

 みのり建設(諏訪郡富士見町、宮坂典利社長)は、地域から排出される生ごみをリサイクルして堆肥化するビジネスを本格展開する。

 かつて売上の95%を公共土木が占めていた建設会社は、建設不況のどん底の中で、地域性にヒントを得て環境ビジネスに踏み出した。宮坂社長は「地域の応援を受けて地道に育ててきた事業を、さらに大きく地域に貢献できる事業として成長させたい」と力を込める。

 事業化のきっかけは、13年程前にさかのぼる。当時は建設不況の真っ只中、公共土木が95%を占める同社の売上は、ピークの3分の1まで落ち込んだ。造園やリフォームへの民間シフトを図りながらも、「何か新しいことを始めなければ生き残れない」(宮坂社長)と模索していた。そこへ町内に数多くいる酪農家から「牛ふんの処分に困っている」と相談を受けたことから、牛ふんの堆肥化を事業化することを思い立った。

 その後3年間、研究や試行錯誤を繰り返し、牛ふんにもみ殻やそば殻、ワラなどを配合して微生物によって分解することで、悪臭を発生させずに堆肥化する製法を確立。信州大農学部と共同で行った連作障害の研究で自社の堆肥を使用し、野菜の生育や土壌改良に対する効果に自信を深め、完熟堆肥『めぐみの大地』として、本格販売に踏み切った。

 また、共同研究の過程で、同学部の大井美知男教授から助言を受け、自社の堆肥が生ごみを分解する高い機能を持つことに着目。改良を重ね、コンポストなどと併用して家庭で生ごみを簡単に堆肥化できる生ごみ堆肥化基材『生ゴミ食いしん坊』として商品化した。富士見町や茅野市、諏訪市にあるJA店舗などで売り出したところ好評を呼び、ユーザーが増加。伊那市にある食品会社が活用するといった事例も出てきた。

 そこで宮坂社長は、分解効果が高く生ごみを良質な堆肥にすることができる同基材を生かし、生ごみの堆肥化と堆肥販売を拡大することを決断。今年2月、県から一般廃棄物と産業廃棄物の許可を受け、約1億円を投じて本社敷地内に整備した生ごみ堆肥化施設を本格スタートさせた。同施設では、地元富士見町や諏訪市で排出される生ごみ(一般廃棄物)や町内のジュース生産工場から出されるしぼりかす(産業廃棄物)を受け入れて堆肥化。できた堆肥は来年から『たいひ物語』の商品名で売り出す予定だ。

 同社は現在、諏訪圏域(人口20万人)でJAに次いで堆肥を多く売り上げる。土木、造園、リフォームを主体とする同社の今年の売上目標は1億5000万円で、宮坂社長が「環境事業」と位置付ける堆肥関連事業は、そのうち4000万円(年間生産量1000t)の目標を掲げる。将来的には「生産量2000t、売上1億円まで伸ばしたい」(宮坂社長)と話す。

 宮坂社長は、地域に根を張る建設業が新しい事業を軌道に乗せるためには「地域に貢献し、地域から応援されることが不可欠」と訴える。事業スタート時の牛ふんの堆肥化で、無臭製法にこだわったのもそのためだ。また近年では、諏訪湖に大量繁茂して問題になているヒシの堆肥化にも協力している。「世の中の役に立ち、地域課題の解決につなげるという信念を持ち、この事業を粘り強く伸ばしてく」(宮坂社長)考えだ。

■地域貢献 教育のフィールドとして開放「体験通じで学んで」

 同社は地域貢献活動の一環として、施設を教育のフィールドとして地元の子どもたちに対して開放している。見学に訪れた小学生らに宮坂社長やスタッフが、専用の冊子などを用いて「微生物のはたらき」を解説しながら、その力によって地球温暖化の原因にもなるごみの焼却量を減らすことができるといった話もしている。

 9月2日は、富士見町内の本郷小の4年生32人が見学に訪れた。児童は発酵によって熱を持つ製造過程の基材に触り、興奮した様子。見学の最初に生ゴミ食いしん坊が入ったビニール袋に投入した生ゴミが、帰りには分解され臭いもしないことに目を丸くして驚いていた。宮坂社長は「体験を通じて、いろいろなことを学び感じてくれればうれしい」と笑顔を見せていた。[新建新聞9月25日号1面抜粋]

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