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動き出すリニア計画 『駅周辺の整備構想示す』 JR東海

 国土交通省大臣のリニア中央新幹線(東京~名古屋間)工事実施計画の認可を受け、JR東海は県内9会場で事業説明会をスタートさせた。一方、飯田市では、県内駅周辺整備の実施エリアを示すとともに、高架下利用による機能や施設の集約を提案するなど、リニア着工に向け、事業実施のスピード感が増してきた。


■整備エリアは駅周辺約7.8ha  高架下空間利用し施設集約

 飯田市は11月10日の第2回リニア駅周辺整備基本構想検討会議で、整備実施エリアや駅周辺の機能・規模、高架下空間利用の考え方などを示した。

 駅周辺の整備実施エリアは、高架下空間の利用や往来も考え、駅部東側部分に当たる国道153号と市道1-87五郎田線、県道市場桜町線、一級河川土曽川・新戸川に囲まれた約7・8ha(リニア駅部の面積を除く)を想定。座光寺PAからのスマートICアクセスは、リニア駅北側にタッチする見込みだ。

 さらにリニア駅に近接が望ましい機能・施設として◇パークアンドライド(P&R)駐車場◇飯田線乗換駅◇路線バス・タクシー乗り場◇待合施設◇観光・案内センター◇土産物等の商業施設―をあげ、これらを高架下空間を利用して集約し、駅南北のエリア間移動を容易するなどの3案を提示した。

 交通施設規模は、バス・高速バス・タクシー・送迎用自家用車関連、歩道や車道・環境空間面積でA4923㎡。P&R駐車場A1万5600~3万㎡(520台~1000台確保)と試算した。

 基本構想で目指す駅の姿は「高度なトランジットハブ」と「県の南の玄関口」としての機能。広域的な交通網の拠点となるようアクセスの強化を図る。具体的には◇中央自動車道座光寺PAにスマートIC◇国道153号や街区道路などアクセス道路◇JR飯田線乗換新駅―の整備を行う計画。

 今後は近く第3回検討会議を開催し対応を協議。年度内には基本構想を策定したい考えだ。27年度以降は基本計画を策定し、関係機関と協議を図りながら、用地測量等に入りたいとしている。


~リニア関連~

■「理解なければ着工しない」 県内9会場で事業説明会始まる

 JR東海は県内9会場で工事実施計画認可に伴う事業説明会をスタートさせた。各地で求められる環境保全協定の締結は「工事車両の運行など、文章で取り交わすことを考えたい」として拒否。大鹿村では「住民の理解が得られなければ着工しない」と明言した。今後は、自治会等の地区単位で説明会を開催。理解を得た個所から中心線測量を実施する予定だ。


【豊丘村】 トンネル掘削は28年度着手〇

 県内のトップを切って下伊那郡豊丘村では11月4日に開催。トンネルは28年度から工事に使用する道路の改良を始め、掘削に着手。高架橋および変電施設等は29年度中頃から着工すると公表した。

 豊丘村内のトンネル掘削は、壬生沢坑口、戸中、坂島の3カ所から。建設発生土は、切土等1万2000m3、トンネル掘削225万m3。坂島は虻川左岸に、戸中は虻川右岸側に施工ヤードを設ける。豊丘変電所は、神稲地区に切土・盛土で敷地面積約4haを確保。広域農道からの進入路は拡幅する計画だ。構造物は壬生沢川を高架する橋梁を計画している。


【南木曽町】 工事着手は28年中頃

 木曽郡南木曽町では11月6日に南木曽会館で開いた。

 南木曽町区間の約10kmは全てトンネルで、23kmを超える長大な中央アルプストンネルの岐阜県寄りの一部に位置し、作業用坑口を広瀬地区と尾越地区の2カ所で計画。同町内の掘削排出土運搬など工事用車両の運行経路などを示し、2地区とも既存道路(尾越は作業道を一部新設)を使い一部は拡幅改良し国道256号に接続。国道接続部分も改良を行い交通誘導員を配置するなど安全対策を地元や関係自治体と意見調整を行い計画し、地域生活や通行車両に支障がないよう対応する。

 町内に排出土の置き場確保は難しいと判断。広瀬坑口は阿智村方面に向かって掘削し土量70万m3、尾越坑口は岐阜と広瀬の両方向に掘削し土量110万m3の2カ所合計で土量約180万m3を想定などと説明した。 「非常口を1カ所にしないのはなぜか」の問いには、「安全のため1区間4km前後としている。掘削区間が長くなり完成予定が3~5年延びるので1カ所には出来ない」と答えた。「
 説明会後に、宮川正光南木曽町長は「協議会などを窓口に、協定書ではなく細かく覚書を結び形に残す事で、問題が出た場合などの対応を図っていく」と語った。


【喬木村】 橋梁は29年中頃着工

 下伊那郡喬木村では11月7日に開催。トンネル工事は31年度中頃、橋梁等は29年度中頃から着工すると公表した。

 喬木村内のリニア路線は約2km。豊丘村内はトンネルと壬生沢川で地上部(約450m)を経て、再びトンネルで喬木村内に入る。喬木村内は全て地上部で竜東一貫道路を横切り、天竜川を渡河して飯田市に向う。

 天竜川橋梁は約L500mで桁式高架橋。構造形式は河川管理者との協議中だ。高架橋の騒音対策では、前後を防音壁とし、住宅のある区間は防音防災フードを設置。防音壁と防音防災フードの間には緩衝工を設置する。建設発生土は喬木村内で切土工等5500m3、トンネル3万m3。

 質疑では、開業後の防音施設設置は「列車を長期間止めねばならず、開業後は不可能」と回答。トンネル掘削による湧水を壬生沢川に排出する件では、複数の住民が氾濫の危険性を指摘し不安を訴えた。JR側は「改めて問題があると認識した。河川管理者の県としっかり検討する。勝手に流すことはない」と語った。


【大鹿村】 トンネル工は27年秋から着手

 下伊那郡大鹿村では11月10日に開催。工事用車両が通行する村内5路線の改良を行うとした上で、トンネル工事は27年度秋頃から、変電所建設は28年度早々、橋梁工事は29年度中頃から、それぞれ着工すると公表した。

 同村のリニア本線は約13kmで、ほとんどがトンネル区間。山梨県側から南アルプスを約25kmのトンネルで通過し、明り部分の小渋川橋梁から、再びトンネルで豊丘村に抜ける。上蔵地区に変電所、施工ヤードを設けたトンネル非常口を4カ所設ける。小渋川橋梁はL170mでアーチ形式。

 建設発生土は4つの非常口から300万m3が搬出される。工事用車両は◇県道赤石岳公園線◇村道上蔵河原線◇村道沢戸河原線◇国道152号◇主要地方道松川インター大鹿線の5路線を通過する。国道152号は工事用車両を低減・回避するため、小渋川河川敷に運搬路を設置する案や、青木地区の道路改良を検討中。上蔵地区の工事用道路は、村が提案するストックヤードが確保できれば中止とし、県道赤石公園線は資機材運搬に一定期間利用だけにしたいとした。

 事業説明会の会場には、村民ら約290人が詰めかけ、「失った風景は取り戻せない」「水枯れが心配」「村には何のメリットもない」といった環境保全や生活への影響を懸念する質問が相次ぎ、JR東海の澤田尚夫担当部長は「理解と合意がなければ着工できない」と明言した。

 用地買収は一部県に委託すると説明。土地収用の強制執行については「土地収用法の対象事業だが、まずは地権者の理解を得たい」と答えた。なお、柳島貞康村長にリニア賛成反対を住民投票で決するよう求める声もあった。[新建新聞11月15日号抜粋]

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